幸せは、手に入れるものだと思っていた

何かを手に入れれば、幸せになれる。そう思っていた。
新しいものを買ったとき、目標を達成したとき——たしかに嬉しい。でもその感覚は、思ったより長続きしない。そしてまた次の何かを求めている自分に気づく。
これは意志が弱いのでも、欲張りなのでもない。きっと、人間にはそういうところがあるのだと思う。
どんなに素晴らしいものを手に入れても、時間が経てば「当たり前」になる。外側に基準を置く限り、ゴールはいつも少し先へ移動していく。
いつもと同じ朝の景色がある。
何度も通ってきたはずなのに、ある日ふと、空気の触れ方が違う気がする。景色は何も変わっていない。変わったのは、それを受け取る自分の内側だけだ。
人は、目の前の出来事そのものよりも、それをどう感じたかの中を生きている。だから、同じ出来事でも、受け取る自分の状態によって見え方は変わっていく。
本当の価値は、物の中にあるのではない。それを受け取る人の心の中にある。
だから、内側が少し整ったとき——何かが「あってよかった」と感じられる瞬間が、自然に増えていく。それは義務でも、無理に身につけるものでもない。外側ではなく内側に基準が戻ってきたとき、静かに湧いてくるものだと思う。
感謝できないときもある。それもありのままだ。
ただ、外側を変えようと必死になる前に、今ここにあるものを、もう少し丁寧に受け取ってみる。それだけで、同じ景色が少し違って見える瞬間が、きっとある。

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